character:登場人物

 パラダイス・ロストの創作悪魔設定をご紹介いたします。
 現在GALLERYに絵を掲載している悪魔を優先して紹介していく予定です。

諸注意事項

 ここでの内容は悪魔学の様々な説を取り入れた独自の創作設定になりますので、創作活動の資料としての使用はなさらないでください。
 また、悪魔学の薀蓄も併せて紹介しておりますが、創作設定の元になった部分をピックアップし伯爵の解釈で紹介している偏った文章ですので、これが悪魔学上の一般的な解釈だと誤認されないようご注意ください。
 民俗学・神学・悪魔学の知識を得たい方は、WEBで個人が公開している情報を全て正しいものであると鵜呑みにせず、信頼をおける書籍を用いて自身で学ばれることをお薦め致します。楽しいので!

Satan:魔王の宮廷

サタン

01
魔界における魔王の役割

 サタン(魔王)と呼ばれ、名前で呼ばれることのない魔王。
 『魔界の王』という象徴として存在するに過ぎず、表舞台に顔を出すことが殆どありません。
 絶大な魔力を持ち、偉大な魔王達に支えられた魔王であるので権威こそありますが、得たいの知れない存在とも思われている魔王です。

02
偉大なる魔王の実情

  親しい間柄の魔王やごく一部の配下とのみ関わる引き篭もり魔王です。
 ルキフェルとはとりわけ親密なようです。

 魔王としての職務はべリアルに一任しており、まるで仕事をしておりません。
 サタンはベリアルの頭のユルいところに愛嬌を感じ仲良く過ごしておりますが、ベリアルは元々ルキフェルの配下なので「サタン様のことは世界で二番目に大好きです」と、そのような調子です。

03
偉大なる魔王の正体

 神から『自分以外の者を崇拝してはならない』と言われていたのに『人間を神の代理人とし崇拝せよ』と言われて、元々の命令に極めて忠実であり、また神から最も愛されていたが故に「神以外に従いたくない」と、命令に従えなかった天使です。
 結局彼の忠誠心は神には伝わらず、反逆者として罰せられてしまいました。
 詳細はいつか物語の形でお見せしたいので割愛します。

04
サタン配下の軍服・正装

 ライトブルーと白が基調の爽やかな軍服です。追々実際の軍服の絵を描きたいと思っております。

followers:魔王の配下達

01
副王ベリアルというお世話係 ベリアル[Belial]

ベリアル
 外見は極めて美しいが内面が極めて不埒な残念過ぎる魔王。
 ルキフェルのことが大好きで、ルキフェルに言われたのでサタンの補佐を行っている。

 基本的に頭がユルいが、スイッチを入れると極めて雄弁であり、中身の無いくだらないことをさも立派なことを語っているかのように錯覚させる能力がある。
 上に立つ者としては極めて有益な能力であり、評価されている。

 ルキフェルに言われたのでサタンのところへ来たが、サタンがルキフェルにどことなく似ているので『こっちでもいいかも』と思ってしまうくらいにはユルい子である。

02
実質的に魔界を支配している魔王達

ルキフェル
ルキフェル[lucifer]
宰相であり実質魔王。メインは法律関係。
ベールゼブブ
ベールゼブブ[Baalzebub]
ある意味最強。冥界の王。死者の魂を管理する。実際はサタンの管轄外。
ベール
ベール[Baal]
≫ 詳細
軍事担当。殺傷能力の高い悪魔を集めた強力な軍隊を持ち、魔界の内戦・反乱防止役。
アスタロト
アスタロト[astaroth]
≫ 詳細
上級悪魔の爵位や領地の割り振り管理。社交界取り仕切り役。

03
サタンが身近に置く配下

べレス
べレス[Beleth]
サタンお抱え・黒猫音楽家
バシン
バシン[Bathin]
サタンにのみ忠実な魔界の名医

memo
悪魔学的うんちく

 サタン(Satan)は極めて有名過ぎる呼称ではありますが。
 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教における悪魔。アラビア語ではシャイターンになります。
 『敵対者』『反対者』といった意味のヘブライ語が語源の名前であり、その正体はルシファー説、ベールセブブ説、サマエル説などと様々。
 また、サタン=階級名、という説もあります。
 モルフィル版エノク書II(スラブ語エノク)31章によれば、以前はサタナイル[satanail]という名前だったらしい。
 七つの大罪における『憤怒』を担当する悪魔です。

聖書におけるサタン

 当初の聖書におけるサタン[satan]は『妨げる者』としての天使であり、堕落した存在ではありませんでした。
 初期新約聖書でサタン[Satan(大文字のS)]となった時に『神の敵』となり、悪魔の頭サタンの像に転じたようです。

 『神の敵』となった後のサタンは竜、蛇、悪魔と同一のものとされ、『黙示録』第十二章9によれば天国から地球上に投じられた者である。
 のちの聖書の解釈では、サタンとディアボロスとルキフェルとが同一視されており、サタンとディアボロスは同一であると見て問題ないようです。
 ルキフェルはサタンともディアボロスとも互換性はないのですが、あるかのように扱われる存在です。
 また、キリスト教においてゾロアスター教のアングラ・マイニュに相当する存在です。

ゾロアスター教のアングラ・マイニュ

 『相当する』と言われても……かと思い、おまけで。
 アングラ・マイニュ[Angra Mainyu]はアーリマン[Ahriman]とも呼ばれる存在で、ゾロアスター教の二元論の闇の神です。
 オルムズドの光に満ちた創造性に対抗する闇と虚偽の存在で、官能的世俗的な誘惑で精神の豊かさを欠落させる大悪魔です。
 また、このオルムズドはアフラ・マズダのことで、ルキフェルと同一視されています。

パラダイス・ロストのサタンの原型はイブリース(アル・シャイターン)

 パラダイス・ロストのサタン像はイスラム教の悪魔王イブリース[Iblis]になります。エブリース[Eblis]、ハリース[Halis]とも呼ばれます。
 イブリースはイスラム教の中の異色の天使です。

 まずイスラム教についての知識も必要になりますが。
 『コーラン』では、アッラー(神)が粘土をこねて最初の人間アーダムを創りました。
 アッラーはアーダムに全ての事物の名前を教え『神の代理人』とします。
 そして人間を天使達の上位にし、周囲の天使達に人間に跪き礼拝するように命じたのでした。
 すると全ての天使達は一斉にひれ伏したのに、イブリースだけはひれ伏しません。

 アッラーが「何故私が命じているのに汝だけひれ伏さないのだ」と問うと、イブリースは「私の方があんな者より上等です。貴方は私を火からお創りになった。だがアーダムは泥でお創りになったではありませんか」と答えました。
 するとアッラーは「それでは汝はここから落ちて行け。ここ(天上界)は汝のような者が威張り散らす場所ではない」と言います。
 イブリースはアッラーに猶予を乞い、人間が復活の日を迎えるまでの猶予を与えら得ます。
 天上界から落とされるまでの猶予を与えられたイブリースは、その日まで人間を誘惑し罪に陥れてやろうと決意し、天上界にいながらにしてアーダムを堕落させ、人間を悪の道へと誘い込む悪魔と化したのでした。

 イスラム教では、このイブリースに対して同情的な見方もあり、イブリースが神に従わなかった理由は神の「自分以外の者を崇拝してはならない」という言葉と「人間を崇拝せよ」という言葉に矛盾があったことが命に叛いた原因ではないかと捉えられています。
 あまりに信心深かったために、例え神の命令でも、神以外の存在に跪くことが出来なかったというのです。