バイノーラル録音と二次元と三次元

制作思考雑感

 去る7月3日。生業の方で制作している乙女ゲームの収録に行って参りました。
 その時に音響監督さんと声優さんとダミーヘッドマイク(バイノーラル録音)での制作・作品に関する雑談をしたのですが、伯爵の『ダミーヘッドマイク作品が苦手な話』が意外と理解されたので(「同意された」ではないです)、今日はそんな雑談を書いてみようと思います。

 『添い寝CD』や『官能昔話』など、最近ボイスコンテンツで「ダミーヘッドマイク使用」作品が人気を博している印象があります。
 この記事を読んでいらっしゃる方の中にも、お好きな方がいらっしゃるかもしれませんね。
 ところが伯爵はそれが苦手でして、一言で言うなら「二次元の人はコッチ(三次元)来ないでくださいっ!!」という気持ちになってしまうのです(笑)。
 例えば、街に出かけていて、偶然にアニメ声の人がアニメっぽい口調で話しているのが耳に入るとギョッとすることがあるのですが、伯爵はアニメ声のアニメっぽい喋り方は平面の世界で耳にするからしっくりくるのであって、それが三次元に現れると違和感を覚えてしまうのです。

 逆パターンで説明しますと、宮崎アニメで芸能人や俳優を声優として起用することに対して否定的な声を多く聞くように思うのですが、その理由はきっと彼らが「二次元の芝居を出来ないから」だと思うのです。
 二次元作品を楽しんでいるのに二次元の喋り方をしてくれないから、しっくりこないんですよね。それが違和感に繋がるのだろうなと思います。
 上手い下手の問題というより、アニメの芝居、ドラマの芝居、舞台の芝居でそれぞれに芝居のつけ方が違うということだと思います。

 バイノーラル録音は、さも三次元に存在するかのように録音するわけですが、演じているのはキラキラのアニメ声だったりするので、そこで芝居が次元の壁を超えてしまうことで伯爵には「しっくりこない」という現象が起るのだと思います。
 お好きな方は「二次元の人がコッチ(三次元)に来てくれた!!」という気持ちになるのでしょうね。welcome!!

 伯爵の持つ苦手意識は「慣習」とか「思い込み」とか、そういったものでしかないので、作品の善し悪しという話とは繋がらないのですが、改めて説明してみると宮崎アニメは嫌われるのにバイノーラル録音は受け入れられるのはちょっと不思議なような気がしました。
 単純に『それ(二次元芝居)が「好き」』なのかどうかの話なのかもしれませんね。

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