love : 恋愛

 そもそも『天使・悪魔(堕天使)に性別があるのか』というところから諸説ありますが、パラダイス・ロストの天使・悪魔に関しては『天使は全て男性である』としております。そしてその外見は総じて中性的であります。
  このあたりの解釈は宗教画における天使達が全て男性であり中性的であることと共通しておりますね。

 では『男性しかいない天使・悪魔が恋愛をするのか』に関しては、ミルトンの失楽園のままに『男ばかりしかいないのにセックスをする』という解釈になっております。これに関しては下にあります薀蓄の方もご参照ください。

 そのようなわけで総じてホモだらけになってしまうわけですが。
 では天使・悪魔は皆男性にしか興味がないのかといえばそうではなく、グレゴリ達のように人間の女性を愛してしまう天使もあり(下にあります薀蓄もご参照ください)、アスモデウスのように人間の女性に執着する悪魔もおります。
 性別を問わない者、男性を好む者、女性を好む者と様々で、それは種族や階級に関わらず、個々の純粋な好みによるものとしております。

 『男同士で子供が産まれるのか、天使に子供を産む必要があるのか』ということに関しては、やはりミルトンの失楽園におけるラファエルの説明そのままになっておりまして。
 『肉体を持たないので子孫は必要なく、精神的な繋がりを深めるためにセックスをする』という解釈になっております。
 仲間や友人という以上に、深い精神的な繋がりを求める気持ちがある、ということですね。

memo
悪魔学的うんちく

ミルトンの失楽園におけるラファエルの性教育

 ミルトンの失楽園において、ラファエルはアダムとエヴァの教育を担当しています。
  その中で、アダムがラファエルにこのような質問をするのです。
 「天使は男ばかりしかいないけれど、どうやってセックスをするのですか」
  ラファエルは顔を真っ赤にしたそうな。

 ラファエルによれば、天使はたしかにセックスをするけれども肉体を持たないので人間がするような肉体的な交わりではないらしい。
 天使のセックスは快楽を求めたり子孫を残すためのものではなく、精神的な繋がりを深めたり、二つの愛を結びつけるために行うのだとか。

エノク書に書かれるグレゴリ達の姦淫

 エノク書によれば、女性に欲情を起こして『堕天使』となった者達がいます。
 グレゴリ[grigori]あるいは見張る者[watchers]と名付けられた天使達です。
 その名の通り『見張り』として地上に使わされた天使達でしたが、人間の女性の美しさに心奪われ、居合わせた200名全員で揃って人間の女性を妻とし、子供を産ませたというのです。
  そしてその混血児達は背丈3000キュピット(1350メートル)という化け物で、地上のあらゆるものを食べ尽し、共食いまで始める始末でした。
 さらに悪いことに、グレゴリ達は愛妻に『宇宙の秘密』を教え、それにより人を殺す武器、媚を売る化粧などを人間が手にし、姦淫が横行し、殺し合いが始まったのでした。

 最終的には四大天使(ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエル)によって神(YHVH)に惨状を報告され、怒った神(YHVH)によって地上に洪水がおき、ノアの箱舟にのった者以外のすべての生命は流し去られてしまったのでした。